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 これがwww.wig.nuだ!!

2000.1.6 記者:OHT@KI

2000年1月某日、我々はついにネット上にのみ存在を許されたマシン www.wig.nuの物理実体に接近遭遇することが可能となった。ここに明らかにされ た詳細を出来る限りレポートしたい!

小雨の振る中、関東某所に我々は降り立った。時間は夜21:00である。バスや 鉄道では近づけない隔絶された地理環境にあり、乗用車でその場所までかけつけ た。場所を明らかにすることは取材に当たっての禁止事項であり、ここに書けな い事をお許し願いたい。

その建物は厳重な警戒に包まれており、事前のアポイントメント無しでは関係 者も入館不可能である。ぽつんとドアとインターホンがあるだけの入り口に 立つと、奥まった位置に扉があるため手元まで真っ暗である。名前と入館目的を インターホンで告げると、事前のアポイントメントに従ってパスワードをインプッ トする。その後管理人側で扉を開けると中には靴箱だけがある。精密機械の集中 する場所の為、土足厳禁なのだ。我々も来館用のスリッパに履き替えエレベーター に乗り込む。管理人の居る階へと降り立つとそこでもチェックがある。その後マ シンルームへの入館用カードを渡される。マシンルームは2重扉になっていて、 扉と扉の間が5m程ある。片方が開いているともう片方は開かない構造になってい る。

wig.nu machine

管理人の案内で内部に入るとそこは数メートルおきに巨大な業務用エアコン が轟々と轟くマシンルームになっている。巨大なロッカールームといった面もち だ。人間の歩く細い通路が整然とある以外はまさに「箱」が視界の端から端まで 並んでいる。かなり広い。管理人は関係のない場所には目もくれず、該当するマ シンのラックへ我々を案内すると、そこの鍵だけを解除する。「それでは終わり ましたらまたお願いします。」そう言い残して管理人は去っていった。

マシンの入っているラックはよくみると床が中空になっていて、エアコンの 冷気が床を伝って各マシンを入れるラック下部へと導かれている。その冷気を各 マシンのファンによって取り込み冷やす仕掛けになっている。排気はラック上方 へ抜けていく。中空床の深さは1m程であろうか。各マシンを入れるラックには厳 重なロックがかけられており、我々も今回の目的であるwww.wig.nuの入っている ラック以外のマシンはさわることができない。

回りを見渡すとこれでもかと言わんばかりの有名プロバイダ、通信カラオケ メーカー等のモデム、TA、等が100台単位で整然と並んでいる。もちろん中をラッ クの通気口越しに覗くだけではあるのだが。チカチカとLEDのみが光っている。 中のマシンを覗いてみるとSUN等サーバ向けマシンが数多く見受けられるが、そ の中でも光っているのが我々のwww.wig.nuを広大なネット空間上に存在せしめて いる物理構築実体である。

本体は「EPSON PC-486FR改」現役ばりばりのスーパーマシンである。CPUは 486DX2プロセッサ66MHz相当。メモリは4M,8M,16M,16Mと増設に増設を重ね、現在 44MByteと超多量のメモリが投入されている。これだけあればなんとか^H^H^H余 裕でperl5を起動できるはずだ。フロント部に白いパネルが貼ってあるが、そこ にはノートPC用2.5inchHDDが搭載されている。私が祖父地図(中古)で買ってきた 大容量1GByteのものが搭載されている。マシンを運用するに十分すぎる大容量だ。 しかもきちんと入らなかったのでプラ板で押さえてある。素晴らしいリサイクル 精神である。ネットワークカードは100Base/TXのは無^HCPU パワーとネットワー ク上流の帯域幅から十分な計測を行った結果10Base/Tが搭載されている。OSはキ ラリと光るデーモンエンブレムが示す通りFreeBSD(98)である。決してペンギンな んぞでは無いので間違えないで欲しい。OSの詳しいバージョンに関してはセキュ リティホールとなるため公開を控えたい。え?ていうかまずいの?えっ、まずい よそれは。…つつかないで欲しい。

そうこうしている内に作業時間終了の様だ。手早く接続を終了させ、コネク トしたネットワークケーブルとノートPCの電源を抜くと、そこには無人となって も黙々と動き続ける頼もしいマシンが動くだけとなっている。時折HDDのアクセ スランプが光る。最後の点検を済ませラックの扉を閉めると自動的に鍵が下り、 我々は物理的にアクセス不能となる。手でさわることはもうできない。この瞬間 www.wig.nuは小さな10Base/Tのポートを通じて、ネット上にあまねくバーチャル に存在する数多の星(マシン)の一つへと昇華するのである。この一台一台が、今 やかくも巨大なものとなったインターネットというものを構築しているのだ。マ シンスペックは確かに大切な要素である。だが間違えないで欲しい。どんなスペッ クのマシンでもIPアドレスを割り当てられ、ネットワーク上に名前を付けられた 瞬間、この宇宙(サイバースペース)の平等な一個の存在へと具現するのである。 これこそが20世紀最後に人類の起こした革命の物理実体だ!なんと素晴らしいこ とであろうか。そこに参加し情報を発するには巨大な放送設備は必要では無い。 特殊な機械と人材が必要な訳でもないのだ。ほんのちょっとした古ぼけたPCとケー ブルがあるだけで、あなたの声を世界に届けることが可能となるのだ。

繰り返そう。これが20世紀最後に人類が起こした革命の実体だ!そしてその 革命を小さな体で体現しているwww.wig.nuに乾杯。


OHT@KI Naoto